直島銭湯


やっとこさ来ました。直島銭湯。




着いたと同時に現れた、ナイスなボランティアのオヤジさん。
ダルそうに銭湯前のベンチで気付けの一服。
タイミング良く一番風呂を頂けました。
湯上り後に島の反対側の港へ自転車で向かうための道を聞いたら、良い顔で「大変やでぇ」と笑ってました。




船体の一部、植物、換気口、芝、無造作に置かれたモノが何であるか、何のために置かれたか、そんな情報処理というか安易な納得は無駄である。
ただ、間違いなくこれらは人の手によって作られ、置かれて、時間によって表情を変え、妙な調和をこちらに見せている。




用途不明の良い顔した廃材をたどって上を見上げれば、形の良い松が「YO、坊主」と頭上にそびえ立つ。
考えてはいけない。
こちらの納得しよう捉えようとする網をスルリと抜けたり破壊したり。
だがそれが抗えないくらい心地良い。




船体だって建物に貼ってしまう。
船の窓からは熱帯植物が生えている。
「問答無用」の禅問答をされている気分になる。
アロハシャツを着た禅坊主がブルーハワイで真っ青になった舌を見せながら「喝ーーーーーっ」と叫ぶ情景。
陽炎の向こうから歩いてくるのが朧に見える、琵琶の代わりにウクレレを抱えた法師とオアフ島出身の弟子達。




花園、そしてシャボテン。





ペンギンと金魚、そしてござ。




色んな国のタイルと、建材もろもろ。




土と埃と排気ガスにまみれたインドのバイカーが疲れを癒しに直島銭湯にやって来た。
たまたま居合わせた俺は、そのインド・バイカーの背中を必死で流し続けた。
インド・バイカーが「モウヤメロ」と言ってもなかなか止めなかった。
俺は半端な状態で湯船に入られたときの惨事を恐れていた。
そんな想像をしてしまったポスター。




内部の写真は撮影禁止のためありません。
ぜひ実際に行って素っ裸で見るのが良いと思います。


脱衣所やトイレや洗面所にもたくさんの作品が仕掛けられています。
浴室内に入れば、男湯と女湯の境界をまたぐようにそびえる像のオブジェがつぶらな瞳で見守っています。
正面壁には銭湯の定番の富士山絵ではなく、海女さんが海底で素潜り漁をしているタイル絵が。
浴槽の底には作品がはめられていて、人が入ると水面が揺らぎ、正しい像が見えないよう目くらましさせられます。
浴室外が見える窓の外には、熱帯植物園のように植物が無秩序に生い茂っています。
天井には、本来はただのガラスが取り付けられていたのですが、夜になると反射して隣の浴室が見えてしまうとのことで、殴り描きアブストラクトな天井ガラス絵が、始めからそうなることはわかっていたとばかりに堂々としています。


良い湯でした。


直島銭湯HP(http://www.naoshimasento.jp/